「水害雑録」の感想
水害雑録
すいがいざつろく

伊藤左千夫

分量:約34
書き出し:一臆病者というのは、勇気の無い奴《やつ》に限るものと思っておったのは誤りであった。人間は無事をこいねがうの念の強ければ、その強いだけそれだけ臆病になるものである。人間は誰とて無事をこいねがうの念の無いものは無い筈であるが、身に多くの係累者を持った者、殊に手足まといの幼少者などある身には、更に痛切に無事を願うの念が強いのである。一朝|禍《わざわい》を蹈むの場合にあたって、係累の多い者ほど、惨害はその...
更新日: 2020/11/24
19双之川喜41さんの感想

 天神川-竪川-横川が 溢れてしまう。 家族十名、乳牛二十頭で、濁流の中を避難する。 牛を 線路上を通行させてくれるように 駅員に頼むが 非情にも断られる。 牛飼いを止ることを思う。臨場感あふれると感じた。

更新日: 2017/08/16
b9ef941530ccさんの感想

伊藤左千夫の水害雑録では、伊藤左千夫は人間の恐怖心は肝っ玉の大きさでなく、無事を案ずる気持ちが大きいほど不安になるので、肝っ玉の大きさでない。人間は何度も水害に遭って、苦難をしいられるが、誰がそれを甘んじてうけいれられようか。伊藤左千夫は人間の心境の本音を忌憚なく言う作家であろう。