俊寛は鹿ヶ谷の平家討伐の陰謀が密告で露見、鹿児島のはるか沖合の島に3人で流された。そのうち2人は赦免され俊寛1人が取り残されることになる。本誌では島の女と結婚し留まるが史実では自殺したということだ。
良い話だ。
心が清々しくなる。妻や子供が有ってこそ生き甲斐を感じれるのでしょうか?
土着は人間の自然な生命力を喚起させてくれる。俊寛は都への執着を捨てたことで蘇ることができた。
何が人の幸せか、考えさせる作品。芥川の俊寛と併せて読んでも面白い。
面白い。この「俊寛」はほとんど50年前に読んでいたが、どんな話だったかは忘れていた。たしか、筒井康隆も「俊寛」を書いていて、そちらの俊寛の鬼畜ぶりがあまりにも印象的だったせいか、と思う。 「ロビンソン.クルーソー」のようになってしまうんだ。筒井俊寛が頭に残っているから、意外だった。すごく、たくましくて、強くて、いさぎよくて、しかも生活力があり、望郷の念もなくなっている。ひどい渇きと餓えが癒された時に、それはもうコロリと人格が変わる。いきなり鬼界ヶ島に適応してしまう。嫁にも子どもにも恵まれる。本家「ロビンソン.クルーソー」がそうだったように、たいへんご都合主義。そして、それが良い。カタルシスは文学的ではないという風潮があった時代の異端だろうが、菊池は、まず読者に喜んでもらいたい人だったんだと思う。 その見本のような作品。