「遺言三種」の感想
遺言三種
ゆいごんさんしゅ
初出:「鴎外全集」岩波書店(三通目については不明)1975(昭和50)年6月

森鴎外

分量:約3
書き出し:遺言壱予ハ予ノ死後遺ス所ノ財産ヲ両半ニ平分シ左ノ弐条件ヲ附シテ壱半ヲ予ノ相続者予ノ長男森於菟ニ与ヘ壱半ヲ予ノ母森みねニ与フベシ弐予ノ祖母森きよノ生活費予ノ妻森しけガ生家荒木氏ニ復籍シ若クハ他家ニ再嫁スルニ至ルマデノ生活費予ノ弟潤三郎ガ他家ニ養ハレ若クハ自活ノ方法成立スルニ至ルマデノ生活費及教育費予ノ長女茉莉ガ他家ニ嫁スルニ至ルマデノ生活費及教育費並他家ニ嫁スル時ノ支度費ハ予ノ死後森於菟ガ予ノ与フル...
更新日: 2016/02/01
3e9c4b240bacさんの感想

森鴎外の遺書。一度従軍したときに書いたっぽいが、その後帰ってきて遺産も増えて子供もうまれたので財産分与のこととか書き直したらしい。前半は遺産の相続について書かれてる。 印象的だった後半は、「宮内省陸軍軍人としてでなく石見人の森林太郎として死ぬつもりだから墓石には「森林太郎」とだけしるし、他の字を一切入れるな」と強く強く念押しして書いてたこと。このへんから森鴎外の、陸軍への姿勢が見える。 墓石の字を書いたのは文人の中村フセツ。お墓は三鷹の禅林寺。ちなみに森鴎外の墓の向かい合わせに昭和の文豪・太宰治のお墓もあります。 あと、「少年の頃から一番仲良かった友達は、賀古」と書いてあるけどこれは、鴎外の小説『ウィタ・セクスアリス』に登場する古賀のモデルになった人物ですね!