これは、脚本家、伊丹万作の「小島の春」というハンセン病を扱った映画についての感想、というか、ハンセン病についての驚くべき偏見に満ちた所感である。 読んでみて、そこに表明されている謂れのない過剰な恐怖心とあからさまな差別の感覚には驚いた。 戦前から、つい最近に至るまでの国策としてのハンセン病患者に対する非人道的な強制隔離を伴う過剰な恐怖政策が、こうした庶民の差別意識に支えられて続けられてきたのかと思うと、たまらなく胸が苦しくなる。聞くところによれば、すべての入院患者には断種がほどこされたくらいだから、「間違って」産まれてきてしまった赤ちゃんは、人知れず闇に葬られたに違いない。断種に使った植木ハサミというのも見たことがある。信じられない愚劣な話だ。 確か、「砂の器」という映画もハンセン病を扱った作品だったと記憶している。