羅生門
らしょうもん
初出:「帝国文学」1915(大正4)年11月分量:約19分
書き出し:或日《あるひ》の暮方の事である。一人の下人が、羅生門《らしやうもん》の下で雨やみを待つてゐた。廣い門の下には、この男の外《ほか》に誰もゐない。唯、所々|丹塗《にぬり》の剥げた、大きな圓柱《まるばしら》に、蟋蟀《きり/″\す》が一匹とまつてゐる。羅生門《らしやうもん》が、朱雀大路《すじやくおおぢ》にある以上《いじやう》は、この男の外にも、雨《あめ》やみをする市女笠《いちめがさ》や揉烏帽子が、もう二三...