芥川竜之介
雪と藪柑子、白猫、灯火の色… なんと美しく表現されたストーリーだろうか 華やかな宴席と対比するように ひとり吟ずる老人の姿 しかし詫びしさはない むしろ生きたいように生きた矜持をもち輝きを放っている なんて粋な… しかもこれが処女作とは
十代から酒 二十代には心中沙汰を起こし 問屋の身上を 無くした隠居は 一中節の講の末席に加わり 血潮が逆流し 自室で 白猫を相手に 口説いてみたりする。 最期の 雪はやむ景色もないは 印象的である。