黒死館殺人事件
こくしかんさつじんじけん
初出:「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号分量:約836分
書き出し:序篇降矢木一族釈義聖《セント》アレキセイ寺院の殺人事件に法水《のりみず》が解決を公表しなかったので、そろそろ迷宮入りの噂《うわさ》が立ちはじめた十日目のこと、その日から捜査関係の主脳部は、ラザレフ殺害者の追求を放棄しなければならなくなった。と云うのは、四百年の昔から纏綿《てんめん》としていて、臼杵耶蘇会神学林《うすきジェスイットセミナリオ》以来の神聖家族と云われる降矢木《ふりやぎ》の館に、突如真黒...