「海島冒険奇譚 海底軍艦」の感想
海島冒険奇譚 海底軍艦
かいとうぼうけんきたん かいていぐんかん

05 海島冒険奇譚 海底軍艦

05 かいとうぼうけんきたん かいていぐんかん

押川春浪

分量:約718
更新日: 2020/05/09
醤油樽薔薇之丞さんの感想

 私が幼少の頃、保育園の帰り道に市立図書館があり、手当たり次第無節操に借りて読んでいたものだ。  今思えば、1メートルにも満たない園児が旧仮名遣いの本を次から次と毎日借りていくのである。さぞ滑稽であったろうと思う。  そのかいあってか小学校を終える頃には、そこの図書館にあった本は、ほぼ全て読破していた。その為か、幾ら幼いとはいえ作文の上手い下手事は判る様になっていたと思う。  小説の良いところは、好き勝手に想像出来るところだ。読みながら、情景を思い浮かべたりするのだが、なんか知らんがワクワクする文章が際立って上手いのが、冒険小説家の方々であろう。  鬱陶しい世の中なので、何かしら楽しめる作品が無いだろうかと、海底人8823の歌を歌いながら、検索し登場したのが押川春浪氏であった。  久方ぶりに血湧き肉踊る感覚が蘇った。後半なんぞは、講談のように声を出してリズミカルに読みたいものである。  降圧剤を飲んでこれだから、いよいよとなったら、薬を絶ち、もう一度読み直しながら清々しく覚悟を決めようという気になった。