「ある抗議書」の感想
ある抗議書
あるこうぎしょ
初出:「中央公論」中央公論社、1919(大正8)年4月号

菊池寛

分量:約45
書き出し:司法大臣閣下。少しの御面識もない無名の私から、突然かかる書状を、差上げる無礼をお許し下さい。私は大正三年五月二十一日千葉県千葉町の郊外で、兇悪無残な強盗の為に惨殺されました角野一郎《すみのいちろう》夫妻の肉親のものでございます。即ち一郎妻とし子の実弟であります。私の姉夫婦の悲惨な最期は、当時東京の各新聞にも精《くわ》しく報道されましたから、『千葉町の夫婦殺し』なる事件は、閣下の御記憶の中にも残って...
更新日: 2021/11/13
decc031a3fabさんの感想

人間の手で人間を裁いて、社会を成り立たせているのが司法だ。そこで本当にその罪に相応しい刑罰を科さないと、何処かで誰かが理不尽な対価を払わせられることになるのだろうな。 死刑囚に対する扱いが、被害者家族の感情を考慮していないという訴えだけど、実際は執行の時に抵抗されないようにという程度で信仰を用いている感じもする。そしてそれを材料に死刑廃止とかの論議を行うのは、ただの雑談のレベルなのかもな。