「寒さ」の感想
寒さ
さむさ
初出:「改造」1924(大正13)年4月

芥川竜之介

分量:約12
書き出し:ある雪上《ゆきあが》りの午前だった。保吉《やすきち》は物理の教官室の椅子《いす》にストオヴの火を眺めていた。ストオヴの火は息をするように、とろとろと黄色《きいろ》に燃え上ったり、どす黒い灰燼《かいじん》に沈んだりした。それは室内に漂《ただよ》う寒さと戦いつづけている証拠だった。保吉はふと地球の外の宇宙的寒冷を想像しながら、赤あかと熱した石炭に何か同情に近いものを感じた。「堀川《ほりかわ》君。」保吉...
更新日: 2023/11/23
19双之川喜41さんの感想

 物理の伝熱作用を 男女間に応用して 夢中になると 相手かたに 熱意が伝わるなどと 職員室の雑談に 花を咲かせていた。 轢死事故を目撃し 踏み切り番の体熱が 鉄路に移ったとみた。 落とした赤手袋が ホームで 呼んでいるようでもある。流れ出た 血液から 湯気が 立ちのぼるなど 優れた 描写力を 感じた。

更新日: 2023/11/23
鍋焼きうどんさんの感想

人間が生命から物体に変わる怖さを保吉は見ている。