「猿」の感想
さる
初出:「新思潮」1916(大正5)年9月

芥川竜之介

分量:約15
書き出し:私が、遠洋航海をすませて、やつと半玉《はんぎよく》(軍艦では、候補生の事をかう云ふのです)の年期も終らうと云ふ時でした。私の乗つてゐたAが、横須賀へ入港してから、三日目の午後、彼是《かれこれ》三時頃でしたらう。勢よく例の上陸員整列の喇叭《らつぱ》が鳴つたのです。確、右舷が上陸する順番になつてゐたと思ひますが、それが皆、上甲板へ整列したと思ふと、今度は、突然、総員集合の喇叭が鳴りました。勿論、唯事《...
更新日: 2019/10/24
19双之川喜41さんの感想

 横須賀港に 寄港した 軍艦で  前に 盗難事件が 起きた時は  原因は 猿だったので  数日間の 絶食を言い渡され 途中で 餌をやったりしたことはあったけど  今回は 女に狂った 艦員が 下手人だったので  軍規に照らし 粛々と処罰された。 心理描写の 巧さを感じた。

更新日: 2018/02/22
e182d47121e1さんの感想

軍隊に限らず、上下の別が厳なコミュニティでは、下位の者を人扱いしないことがあります。しかし相手も一人間である事は、悲劇的な形でしか認識されません。 石炭の中で自死を止める場面は、悲しみを感じる事が人間性を取り戻す唯一の方途ではないかと思わせてくれます。