「あばばばば」の感想
あばばばば
あばばばば
初出:「中央公論」1923(大正12)年12月

芥川竜之介

分量:約17
書き出し:保吉《やすきち》はずつと以前からこの店の主人を見知つてゐる。ずつと以前から、——或はあの海軍の学校へ赴任した当日だつたかも知れない。彼はふとこの店へマツチを一つ買ひにはひつた。店には小さい飾り窓があり、窓の中には大将旗を掲げた軍艦|三笠《みかさ》の模型のまはりにキユラソオの壜だのココアの罐だの干《ほ》し葡萄《ぶだう》の箱だのが並べてある。が、軒先に「たばこ」と抜いた赤塗りの看板が出てゐるから、勿論...
更新日: 2025/01/08
9692755709e7さんの感想

芥川の羅生門以外の小説を読んでみようと思い、題名のインパクトに釣られて読みました。 天使と悪魔、この頃から居たんだなぁとかタイトル回収が微笑ましくて、良かったです。 上さんと、檀那さんのやり取りも、なんだか目に浮かぶようでとても和やかな気持ちになりました

更新日: 2024/05/18
8eccbdaa1729さんの感想

まさかタイトルの回収がこんな形になるとは思わなかった。一人の女性が強くなる瞬間を見たような気持ちになる。

更新日: 2024/03/12
067d56104a71さんの感想

芥川の私小説は文が明瞭で平凡な内容でも面白く読めますね。 途中で挟まれる心中の悪魔の表現がいかにも私小説らしくて良い。 最後のオチは「女」を彷彿とさせる感じ。やはり芥川は自身の経験からも、母親にある種の恐怖と神秘性を見ていたのでしょうね。

更新日: 2024/02/14
7ccda52a4515さんの感想

こういう古い文体は読みなれていなかったのですが、短いお話なので読みやすかった。 あばばばば、というタイトルが不思議だけれど、その言葉の大胆さが物語の内容をよく表していて良かった

更新日: 2023/08/29
1d28328c9d10さんの感想

男から見た、母親になる女の変化ってこうなのかな?と思う。

更新日: 2023/08/17
d8918e306a4fさんの感想

女から母に変わる様子を描いている。 接客を通して、もの知らぬ店員の女が客である主人公のオーダーに答えることが出来ず、弄られることで顔を赤らめたりして可愛らしい仕草を素で見せる。 主人公は弄るのを楽しんでいる。 一方、女をしばらく見ないと思えば、母になっていて路上で赤ん坊を激しく、恥じることなくあやす様をみて、女から母親に変わっちまったなぁ。 という、女性の心理と男の切なさが表現された作品。 個人的には恥じらい、いじりは好きだが、母として子をあやすのに恥も何も無い姿も好きである。 恥を捨てたとたん、自分に恥じる事ない=男として見られない。 子供、旦那の為に生きる女として映り、好意のある女がそうなると切ない。

更新日: 2023/06/24
アコさんの感想

主人公が意地悪いがそれがこの話を良いものにしている。 タイトル回収も微笑ましく読みやすかったです。

更新日: 2023/06/10
381c44503655さんの感想

微笑ましいけど、主人公が意地悪くて。 ほかの作品では鋭い心理描写が、今作では浅いのもいまいち。

更新日: 2022/12/03
30c0714a5e02さんの感想

タイトルの回収が微笑ましくて好きです

更新日: 2022/03/29
d89be5f2500fさんの感想

読了(2022/03/30 04:15:32) 主人公をあまり好きになれない。 微笑ましい夫婦に心和む一方で顔を顰める独り者の面倒さ、覚えが無いわけではないが醜い。 反応がかわいいからといってお話したいがためにわざと微妙なクレーム対応させるのはやめようね。 娘らしい初々しさを表に出さないくらい強さを得た母としての女 保吉が変化のない生活を送る中で女の大きな変化が鮮やかに残る。 自分の知らないところでの変化、自分は女の人生においてただの通行人でしかないという現実、一抹の寂しさ 女は母としての一面が多くなっただけで娘の一面を失ったわけではないと思う。 ただ、女が通行人に全ての面を見せるわけもなし、通行人も表層的な部分でしか女を見ていない。

更新日: 2022/03/18
f739601db10dさんの感想

男から見たら、母親になるとはこんな女の変化なのかと思う。

更新日: 2021/11/20
2eebb82101afさんの感想

わかりやすいテーマ、かつ、ほほやましい日常の取り合わせで読みやすい。

更新日: 2021/09/07
decc031a3fabさんの感想

どんな有りふれたような光景も、シンプルに料理してしまうのは流石だ。他にも観察眼の鋭い作家はいるだろうが、芥川ならではの手法を感じる。

更新日: 2021/08/05
#0095d9さんの感想

題名につられて読んだ作品。 最後に題名の意味がわかったとき、それか!とちょっと微笑ましかった。 再現された店内を実際に見てみたいと思った。

更新日: 2021/06/02
e0814fef7374さんの感想

ふーん。綺麗に纏まっているいい話だ

更新日: 2020/11/18
028dcac4e8edさんの感想

あばばばばばば、ばあ! 一子たび子の為になつたが最後、古来如何なる悪事をも犯した、恐ろしい「母」の一人である。

更新日: 2020/11/08
122b68f875d3さんの感想

一つ一つの描写がとても丁寧で目から文字を飲んでいる気さえする位読みやすく自然と感情移入していました。短い間でもノスタルジーな気分に浸れて面白かったです

更新日: 2020/04/20
f05ef8cf9a3cさんの感想

うぶな娘が母になる瞬間を描いた作品。短いながらも秀作。タイトルがきれいにはまっていてよい。

更新日: 2020/04/19
21f6eef5eed4さんの感想

煙草屋(雑多な店)にて、無愛想な主人の嫁がいる。その19歳程の若い娘は、接客が苦手なようで、頬を赤らめては四苦八苦している。主人公の保吉は猫のような顔の可愛らしい娘の為に店に通ったが、何ヶ月か姿を見せず、次に会った日には赤子を抱いていた。そのあやす言葉が題名の「あばばばば」である。目をじっと見つめたら、また赤面するだろうと思っていたら、母になって精神が強くなったのだろう、堂々としていた。保吉は、娘から母親になり変化した様を見てぼんやり空を見上げる。

更新日: 2020/03/17
b74eb2543ab9さんの感想

彼女の行動の振る舞いや仕草で人生の経験の差などが感じられたが、彼女が子どもをあやしている場面で彼女が大人の女性に成長した速さやたくましさに驚いたように感じました。