幸田露伴
漢書文語体に慣れている方には、相当に面白い“水路から観る東京地誌”といえる作品です。現代でも、都内皇居以東を散策すると、本作品に描かれる情景や橋や堀の名跡に出会う。江戸時代、“東京”は『八百八町』と称され、“人”と“物”が盛んに行き来していた。そのため、交通路として“水路”が発達していた。大阪は、『八百八橋』と称される“商業都市”であるが、“東京”も劣らず“水路”と“橋”の都であったことが、この作品から想像される。