荒々しい描写と船内のひどい悪臭と陰鬱な空気感が文字一つ一つから滲み出ていてさすがの名著だなと感嘆した。 北海道への開拓やその裏でこうやってクズのように扱われていた労働者がたとえ過剰ではなくとも多数いらっしゃった上でいまの時代があるのかなと思いを馳せてしまう。 新訳版がでたことをSNSで見、その際印象的な出だしからなにもなくなっていることに驚き原文を読むことになりました。ある意味いいきっかけになりました。
弱い立場にあれば生き方、死に方すらも誰かに制限されるのかもしれない。雑夫がちょっとずつであるが確実に衰えていく描写が恐ろしかった。
人がこんなに簡単に死ぬ時代があったことを感じた。なにかを言うのは見聞が少なすぎるのでもっと勉強をしてからこの作品を思い出そうと思った。
国家や、その社会の底にある差別主義。源は人の心にある。 王政を打倒して共産主義国になった、かつてのソビエト連邦も、結局、政治的にも経済的にも階層社会になったし、自由主義圏諸国も、資本主義のもと、貧富の差による匕エラルキ―を作り出している。
歴史を習う中で、突然一行だけ出てきて丸暗記させられ、特に説明のない文化的な何か、というイメージしかなかったのですが。 読みやすく面白かったです。前半の写実的な描写は息が詰まります。後半は理想的に過ぎる気がします。 三浦綾子の「母」を読み返したくなりました。
だいぶ以前、若い人達の間で、この本が再評価されているとの報道をみて気になっていました。非正規雇用者の派遣切りが問題になっていた頃です。読んでみると、本作品発表当時の労働者や小作農民の非道な、命さえ軽んじられる労働状況がよくわかりました。そしてそれが共産化運動にどのように発展していくのかがわかりやすく描かれています。当時の労働者たちに支持された理由がよくわかりました。64歳自営業。
題名は聞いた事あるが、内容は読んだ事が無かった。なぜどこが評価されたのか不明な作品だ。呪文のような言葉が不気味に踊っているだけ。面白くはない。
面白かった。 労働者たちの置かれた悲惨な環境には感情が引き込まれ、思わず陰鬱な気持ちになった。だからこそ後半の展開に救われたし、希望のある結末で良かったと思う。 一方で話の展開、特に赤化運動に関する部分は作者のご都合主義のようなものが気になった。作者は登場人物に、労働運動へ希望を見出す台詞を言わせていたが、当時の学識乏しい下層階級にそうした権利意識はどこまで根付いていただろう? あまりの過酷さから自然とサボりが発生する流れは理解できるものの、要所要所で首を傾げることがあった。ただこの作品は事実を記すだけのルポルタージュでなくて、共産主義の啓蒙運動の一環であり、またこちらもそれを承知で読んでいたため、むしろ面白いなあと感じるポイントだった。 現代日本で蟹工船の労働者に当たるのは移民の技能実習生だろうか。
人間は皆食べてクソをしてそして老いて天命がつきたら終わりです。貴賤もありません。時代の流れに逆らっても徒労でおわるだけです。人の一生はあっという間に過ぎ去ります。誰もあなたのことを気にしてくれません。一人でもいたら幸せな人生でしょう。
有名なので気になっていた作品。寝る前やスキマ時間にスマホで読了。現代とのあまりの違いに、こんな時代本当にあったの?と思ってしまうけど、今ある豊かな暮らしはこの時代の方々のこういう労働のおかげなのかなと思った。逆に、この時代にこんな働き方がなければ、鉄道や炭坑などの発展もなく、もっと西洋などに遅れていた?とすると、海外の貧しい国では今も蟹工船と同じような労働をさせられている人がいると思うが、日本人は何も言えないだろう。とにかく、現代に産まれた事に感謝。今も今で辛い時代ではあるけど、虱に体を這われるような尊厳を奪われるような辛さよりはマシと思って。
昔の文章なので理解できないところが多々ありました。(私が文章を読むことが苦手なのもありますが) それでも乗組員の辛さが感じ取れました。全て理解できていたら感じた辛さは倍以上になっていたでしょうし、所々わからないぐらいが私には丁度良いのかもしれませんね〜 ハピエン厨なので附記でにっこりしました。(^^)
皆様に逆に質問したい。最後の一行にある「殖民地」とは何を指すのか? 次いで感想、風景、心理の汚さも冷たさも過酷さも絶望感も、流石にプロレタリア文学の大御所として素晴らしい。特高に捕らえられ獄中死した作者を思うと、もっと過激な筋書きでもと思うけど、時代当時のリアリティーとしては本作の通りなのでしょう。 附記ではなく通常文体で9人のその後を読みたかったけど、附記で完結させた方がのスッキリはしますね。 最後にもう一度、「殖民地」とは何ぞや⁉️
当時の実情が描かれたいい作品だったと思う。
止まらんよこれは
戦前の悲惨な蟹工船の労働環境をリアルに描く。 最後にストライキ、労働争議に立ち上がる労働者たちの力強い叫び声が聞こえるようである。
読み始めは、読んでいて辛かった。汚かったので、、、 劣悪な環境と美しい波や朝日の描写が対照的で よかった。 蟹工船や炭坑での労働の過酷さよ。 労働、ではなく生け贄のようにさえ感じた。
虫が這う様を想像してしまった
読むほどに情景がありありと脳裏に浮かぶ、描写力の確かさに圧倒された。 読み終わっても目をつぶれば、墨汁を流したような濃灰色の空しか見えない。 我々はこれ程の労働の想像が出来ないくらい、ぬるま湯に浸かり生かされている。 命懸けとまでは考えないが、日々の中で相当の緊張感を持つ事は、今を生きる者たちには必要だろう。
諾々と「上」の意見に従うのがさも最善であるかのように語られがちな現代日本。これは国語の教科書に載せるべきだと思った。
面白かった。 当時の時代背景などが、よく理解できる。 小説を読んでいると、蟹工船や乗組員の思想、劣悪な状況下などがまるで映画のように想像でき、楽しめた