「婦人の笑顔」の感想
婦人の笑顔
ふじんのえがお

島崎藤村

分量:約2
書き出し:古人の言葉に、「おふくは、鼻の低いかはりに、瞼が高うて、好いをなごじやの、なんのかのとて、いつかいお世話でござんす。」これは、名高い昔の禅僧が残した言葉で、おふくが文を持つ立姿の図に、その画賛として書かれたものであるといふ。仮令鼻が低いと言はれようが、瞼が高いと調戯《からか》はれようが、女の身ながらに眼を見開くなら、この世に隠れてゐる宝と生命と幸福とが得られるといふこゝろもちを、いかにも軽く取り扱...
更新日: 2018/09/08
いちにいさんの感想

おかめ、のお面。 笑い顔のはずだが、泣き顔にも見える、という。 美人画と阿亀と比較すれば女にとって阿亀は泣き顔に映るだろう。 いじめられっ子やいけてない子がクラスに溶け込む方法は道化を演じることだ。人間失格とまでは言わないが、一種の処世術である。 阿亀はその象徴ではないか? 笑顔のないブスは本当のブスだ。 女芸人の捨て身の芸が大衆受けする理由が阿亀の笑顔だろう。 その影では苦悩があるのはやむを得ない。仮に美人であってもそれなりの悩みは持ち得ている。 それが人間だ!