「魚服記」の感想
魚服記
ぎょふくき
初出:「海豹」1933(昭和8)年3月号

太宰治

分量:約14
書き出し:一本州の北端の山脈は、ぼんじゅ山脈というのである。せいぜい三四百|米《メートル》ほどの丘陵が起伏しているのであるから、ふつうの地図には載っていない。むかし、このへん一帯はひろびろした海であったそうで、義経《よしつね》が家来たちを連れて北へ北へと亡命して行って、はるか蝦夷《えぞ》の土地へ渡ろうとここを船でとおったということである。そのとき、彼等の船が此の山脈へ衝突した。突きあたった跡がいまでも残って...
更新日: 2021/05/19
0036fe27d072さんの感想

炭焼き小屋の少女。少女から女となる戸惑い、心の変化が山の自然と共に描かれている。

更新日: 2020/11/11
19双之川喜41さんの感想

 滝壺には 学生が滑り落ち 少女もやがて滑落する。 大部分が 寡黙な父と娘なので 地の文は津軽の美しい自然描写が展開し まるで読み手を 森林浴に誘うかのようでもある。解題は 少々むずかしい。反復思考も 楽しみのうちかなと感じた。

更新日: 2019/12/18
3fb5267a3520さんの感想

すぐにはスワがそのような目に遭ったとは理解できませんでした。鈍感な読者です。

更新日: 2019/07/02
d6d77740ad6bさんの感想

ファンタジーですね。女の子は、悲しみの無い世界に行ったんでしょう。

更新日: 2019/06/21
5aa7ac1702e7さんの感想

不思議

更新日: 2017/11/24
c399b3f1e36aさんの感想

東北の山で暮らす人々の、どうしようもない貧しい生活が短い文の中に描きだされている。スワの身に起きたことは、残念ながら現代でも、密室の貧困家庭で繰り返されている。その子供達を受け入れて新たな生を与える滝壷が身近にあればいいのだけれど…

更新日: 2017/05/24
喜助さんの感想

少女から女へなっていくスワ。 裸になって滝壺まで泳いでいく天真爛漫な少女が、思慮深くなり、髪を結うようになり、色香も増していったのだろう。 父親は阿呆で 父親は酒臭い。 疼痛。 重い身体。 夢現の逃走。 滝壺に落ちて死んだ学生の姿。 大蛇になった昔話の男。 スワは父親に犯されたのだろうか。 理解の及ばない「汚ならしい」行為に耐えられず、家ではない何処かへ逃げたかったのだろうか。 後半の夢のように曖昧な描写は、スワの混乱と当惑かと思うと、切ない。

更新日: 2015/11/02
5d1bfbeedad0さんの感想

貧しさ、閉塞、疎外感。 そんな環境で育った思春期の少女の、「女としての性の目覚め」と「別世界への憧れ」を抽象的に描いた作品だと思っています。 父親の生き方については疑問をもちつつも、片親でめしを食わせ育ててくれている彼には非常な感謝の気持ちもあるのでしょう。それだけに、親子としての関係を裏切られたときの絶望感は凄絶なものであったに違いありません。 ラストはとても悲しいです。しかし、都の学生を追って別世界へ旅立とうとしたと考えれば、いくらか彼女も救われる気がします。

更新日: 2015/05/30
もこさんの感想

とても重いテーマを扱った作品ですが、とにかく津軽の山の自然の描写が美しいです。 美しい自然と、主人公の少女の内面を表すような物悲しくやるせない雰囲気の対比がなんとも好きです。太宰の作品の中でも特に好きなものの一つです。