「呆れた王だ、生かしておけぬ」、「市を暴君の手から救うのだ!」。 メロスは最初、王の命を奪って市を救おうとした。力でねじ伏せるという方法は王と同じ考え方であって、そこに気付いていない単純なメロス。 しかし、最初は血の気のない蒼白な顔だった王は、メロスとセリヌンティウスの『信実』に心を打たれ、顔を赤らめる。そして「お前たちの仲間に入れてくれ(=信じ合える関係を築く)」と発言する。人を信じられずに殺し続けていた人の心を持たない王が、メロス(たち)によって人の心を取り戻し、顔を赤らめた血の気のある人に変わることが出来た。 おそらく以前は王も人を信じていたのだろう。しかし、なにか酷い裏切りにあい、信じられなくなったのではないか。王が変われば市も変わる。元に戻る。平和が訪れる。誰ひとりとして死ぬことなく、平和が訪れた。だから最後、メロスの呼称が「(市を救った)勇者」へと変化する。 そんな人間離れしたことをやり遂げた勇者であるが、実際は裸であることにはたと気付いて、「恥ずかしい」と思える気持ちを持った、ごく普通の人間である。メロスのように人を信じる、愛する、嘘を嫌う、そんな気持ちがあれば普通の人間でもみんなが「勇者」になれる。 そんな希望を抱かせてくれる名作だと思います。
よかったです
絆を実感出来る作品でした。 これは、そこまで、他に無い作品かと、思われます。そういった面での感動を、得られます。
4歳の息子に読み聞かせた。上手く嘘がつけるまでに成長した10歳の娘に聞こえるように。信頼のために、大きな力に動かされて走るメロスに彼女は何を思ったか。思春期の子供を信じることの難しさよ。私こそが王様かもしてれない。
やはり、教科書に載るだけの面白さがあった。 メロスが河を泳いで渡る場面など、緊迫した状況では四字熟語が多用され、緊迫感が恐ろしいほどく伝わってきた。 最後の少女がメロスにマントを渡す場面にはそれらの場面とは逆の、ユーモアまで感じた。
自分は、この世に知られた大宰の代表作である【走れメロス】を、人生で初めて読んだ中学3年生以来約40年ぶりに今回読み直してみた。結論から申し上げますと、やはり走れメロスは彼の晩年の代表作でもある【人間失格】等、他の彼の作品と比べ大きな差が在り、それは『友情』という、我々日本人が一番大切にそして美徳ととらまえる、男女の色恋から生まれる愛だの異性間で生ずる恋だのを全く凌駕する程の、男同士の友情作品であったればこその素晴らしさであったり、今作品の後世の我々に与えてくれる『清々(スガスガ)しさ』を、恐らくは本来書き手である大宰自身も、気付いてなかったかもしれないという点では、なかろうかと改めて推察した。 話しは少しズレるが、江戸時代【心中もの】で一躍名を馳せた近松門左衛門が【人情もの】に特化している事は周知の通りではあるが、大宰はもうあと何作か【友情もの】に特化した作品を我々後世の大宰 治ファンに残してほしかったなとも、小生などは時に独り悔やまれたりなんか、したりするものである…。
メロスは激怒したじゃないよってなります。私がセリヌンティウスだったら、絶対メロスに激怒です。
太宰のこの作品にはユーモラスさがあり、且つ、個性がある。一概には言えないが、風格があると言える作品だ。
友のために走ったって記憶しかなかった。 メロスも一瞬の葛藤があった。 友とて同じ。 だから竹馬の友か。 最後のオチは笑ってしまった。
メロスは、自己犠牲を厭わない代わりに周囲を不幸にすることも同時に孕む、友達としては付き合いにくい存在という感想である。「親友だよな。」と押しつけられて、当方がメロスの思ってない対応だとどえらい目にあいそう…。 「私は信頼されている。私は信頼されている。」と二回も繰り返し自分を鼓舞するくだりは、挫けそうな時に今でも使える大切な自己暗示だなと思った。
久しぶりに読むとツッコミどころが多いけど、良かったです。 「メロスは激怒した」とりあえず少し落ち着けと言いたい
セリヌンティウスくんは身代わりになれと言われた時点で一発殴っても良い。
メロスの正義感、途中でセリヌンティウスを諦めようとしてもだらけず、決めたことをやり遂げ友を救い出す姿が刺さった。 信念を貫く美しさ、裏切らないことの美しさと、人を信じれず疑いしか持たぬ残虐な王が仲間になりたいとすら思う信頼関係の美しさが描かれていて美しくありたいと思えた。 王に逆らう、処刑宣告、妹の結婚を見届けたいから親友を人質に差し、結婚見届ける、人質解放に戻る、諦めそうになる、頑張る、ギリ助ける、王も仲間になりたがる、ハッピーエンド。 言葉選びが上手くて情景が鮮明に浮かんだ。
訳わからん結末だが、結構おもろ
中学の授業で読んだけどいい話ですね
メロスとセリヌンティウスの男の友情物語。いい話でした。
おもしろかった
短編の心地よいテンポで一気に読んだ。極端に、善悪、正邪、信不信、等を対比させることにより、テーマたる信をクローズアップさせる展開に釘付けにされた。アッパレ。
メロスとセリヌンティウスとの熱い友情に心打たれ、人間不信の王が最後にメロスとセリヌンティウスに言った一言が感動しました。
メロスの思いが伝わりました。