狂乱の前半生を生き延びて、ひとときの安息の時季を得た作者がこれまでを東京で住んだ場所に重ねて振り返った訳だ。
10代の頃に何十回と読んだ、太宰の作品の中でも1、2を争うくらい好きな作品。今改めて読んでも、凄い半生ですね。読者に語りかける手法も、作品にぐいぐい引き込まれていきます。
読み出すと、夢中になって読んだ10代の頃にすぐに戻ってしまう。暗く哀しいトンネル。太宰さん!わかる!! 理解ってなど、いないくせに。。それでも、この時期の太宰さんの作品には救いがある。トンネルは抜けられる。ふ~ と 肩の力も、心の力も抜ける。この読了後の、この、感じが好き。幾つになっても好きです。太宰さん❕
「芸術が私を欺いたのか。私が芸術を欺いたのか。結論。芸術は、私である。」私、の体験と共に記憶される、景色、の記録。