「藪の中」の如く、語られる数だけの事実があり、しかもどれが真実かは分からない。今の世でも様々な事件が、真実も分からぬままに憶測ばかりが拡散されている。
芥川俊寛は、なんだろう? 鬼界ヶ島にいても僧侶のまま、たった一人でそれなりに満足している。仏教の教えらしいが自分の住む所は即ち浄土であると言う。どうやら本当に満足しているらしい。山にこもる修験者の心境か。とは言え、理窟(能書き)が多過ぎて、純粋ではない。自分の人生をななめに楽しんでいるという感じ。なにか、俗な感じがする。 菊地俊寛の爽やかさや筒井俊寛の鬼畜ぶりの方をかう。しかし、もっともありそうな俊寛像ではある。