「秋」の感想
あき
初出:「中央公論」1920(大正9)年4月

芥川竜之介

分量:約29
書き出し:一信子は女子大学にゐた時から、才媛《さいゑん》の名声を担《にな》つてゐた。彼女が早晩作家として文壇に打つて出る事は、殆《ほとんど》誰も疑はなかつた。中には彼女が在学中、既に三百何枚かの自叙伝体小説を書き上げたなどと吹聴《ふいちやう》して歩くものもあつた。が、学校を卒業して見ると、まだ女学校も出てゐない妹の照子と彼女とを抱へて、後家《ごけ》を立て通して来た母の手前も、さうは我儘《わがまま》を云はれな...
更新日: 2021/05/27
阿波のケンさん36さんの感想

明治大正時代は結婚は親戚知人等の世話等の狭い範囲で行われていた。それでこの本の様に男性を姉妹で譲り合うことになる。個が確立されてない時代だけにこの姉妹の様に余計に込み入った感情に支配される。

更新日: 2020/12/02
19双之川喜41さんの感想

 姉が 秘かに 想いを寄せていた男は 妹と 新婚生活を 始める。 関西から 夫の出張に同行してきた姉は 俥の小窓から 男を見掛けるけど ためらった末 声をかけずに 去る。 哀感漂うと感じた。

更新日: 2020/11/18
028dcac4e8edさんの感想

報われないほど、報われないからこそ、愛しく思う。嫉妬は、女に、恋をさせる 。 この気持ちは、きっと、秋のせい。

更新日: 2020/10/15
19双之川喜41さんの感想

 姉は 密かに 思いを寄せていた従兄弟を 諦めて 関西に住む 平凡な会社員と 結婚してしまう。久しぶりに上京して 従兄弟と結婚した妹と 再会し 帰りがけに 乗って居る人力車の 窓越しに 従兄弟を見かけるけど 躊躇しているうちに 人力車は 通り過ぎてしまう。心情の表現に 並ならぬものがあると感じた。

更新日: 2020/03/02
b74eb2543ab9さんの感想

姉は妹が幸せになってくれればそれで良いと口では入っていたが、内心は複雑であり、改めて好きな人に再会して好きな気持ちは消えていなかったが、もう全て諦めているように感じられた。

更新日: 2017/12/26
gnosaさんの感想

日常のちょっとした心のすれ違いが静かにまとめられてます。誰もが持つ感情を文に出来るのが芥川の凄さ。

更新日: 2017/12/14
ec538f32331eさんの感想

美しく落ち着いた語り口だが、その底深い悲しみと切なさに心を打たれる。ここまで、女性の心 を描けるとは。やはり、天才芥川。

更新日: 2017/04/08
3bc6f942e70fさんの感想

良かった。古さを感じられませんでした。人はいつの時代も同じことを繰り返しているんですね。

更新日: 2016/09/10
6187397b10e3さんの感想

全般に漂う刹那さが良いですね。

更新日: 2016/08/05
42bb28656552さんの感想

儚い気持ちは時代を感じさせず、私の心をも苦しくさせた。ただそもそもただ一人の為に三人の人間がわざわざ不幸な道に立ち入らずともよいのではなかろうかと思われる。

更新日: 2015/11/30
8e870c96c52aさんの感想

複雑な気持ちが混ざった心が、季節の隠喩とともに緩やかに変化していく点がおもしろかったです。株価変動のグラフを思い出しました。春になると良いですね。

更新日: 2015/07/28
degkkdts996さんの感想

切ない