面白いです
教師は 文筆に関心がありながら やむなく教職につく。 町並みや 自然の巧みな描写が 詩情を誘う。 戦勝の 提灯行列のあと 志し半ばで 病死する。 花袋の作品の中では 完成度が高いと 思われる。
悲しい、とても哀しい物語だった。貧しさ故に、希望どおりの人生を送れず、田舎教師としての短い一生を終える。淋し過ぎるよ…。
ひどい寂寥感。明治の薄幸な青年の人生。少し救いを感じたのはしげ子の存在。嗚呼、南無阿弥陀仏
これぞ青春のリアリズム。 理想を強くおもえば、現実はより色濃く映り、もがき苦しみ。されど、季節は、流るる。歴史はうつる。 光でなく影に焦点をあて、人間の本来を浮かび上がらすことに文学の可能性を見出すことに成功した原点の作品。 残された日記をヒントに書きあげたらしいが、日記そのものも非常に気になる。この日記自体文学的に優れたものに違いない。しかし、それは、リアルであり、リアリズムにあらず。リアリズムとしてより完成させる為に、作者は、情景描写にちからをくわえたのであろう。 その情景は、作者の産まれ育った故郷に近く、読み手に風土の風を感じさせるまでに、仕上げられている。 メッセージ性は、各読者に委ねられるわけだが、作者が主人公のモデルと出会った時の、感情は、等しく伝わるであろう。
家庭の経済事情で小学校教員で暮らさねばならなかった清三は、かねてより高等師範へ行って中学校教員を志すが、健康に恵まれず、ただ、周囲の同級生の出世を聞いては憧れる。結局、日露戦争の勝報に浮かれる世情の最中友人家族に看取られて逝く。こんな教員は幾らでもいる。田山花袋の田舎教師は何を訴えたかったのか?