「蒲団」の感想
蒲団
ふとん
初出:「新小説」春陽堂書店、1909(明治40)年9月号

田山花袋

分量:約127
書き出し:一小石川の切支丹坂《きりしたんざか》から極楽水《ごくらくすい》に出る道のだらだら坂を下りようとして渠《かれ》は考えた。「これで自分と彼女との関係は一段落を告げた。三十六にもなって、子供も三人あって、あんなことを考えたかと思うと、馬鹿々々しくなる。けれど……けれど……本当にこれが事実だろうか。あれだけの愛情を自身に注いだのは単に愛情としてのみで、恋ではなかったろうか」数多い感情ずくめの手紙——二人の...
更新日: 2022/01/03
78f3022e9176さんの感想

ラストの数ページが異常に美しかったので、気持ち悪いのかな〜と臆している人にはぜひ毛嫌いせずに読んでほしい。 痴人の愛よりよっぽどさわやかなのにな。なんでこんなにキモいキモい言われてしまうんだろ?

更新日: 2020/12/29
19双之川喜41さんの感想

 匂いを テーマにした火野の作品があるけど 糞尿の臭気に 圧倒される。 花袋は 藤村に対抗 したかどうかは分からないけど 告白文学として 紡(つむ)ぎだした にしては 拡がりなく ささやかな 残り香を 楽しんで終わりとなると感じた。

更新日: 2020/10/04
87c5f63568b5さんの感想

主人公が変態であると名高い小説。 実際なかなかに気持ち悪いが、主人公のほとんどの行動は恋心、性欲と田中への嫉妬からなるもので、笑えてしまう。 しかもその行動や言い分が外からみるともっともらしく見える点もまた面白い。 一番面白いのは芳子と父が列車に乗って田舎に帰るとき、見送りにいった時雄が将来の芳子との結婚を妄想していて、駅にひっそりと現れた田中に気づけないところだ。芳子と父はその存在に気づいたが、時雄は気づかない。そうやって妄想ばかりしてるから現実を見落とすんだぞ時雄! 芳子のハイカラなところを高く評価し、時雄本人も新時代の女性について語っておきながら、最終的に彼の嫉妬が主な理由で彼女を古い時代の女性に戻してしまう点が何とも皮肉だ。

更新日: 2020/08/28
c81184434204さんの感想

男の嫉妬とかプライドがギャグすぎて笑える。これを、今時のフェミニストにも読んで欲しいな。結局これ芳子の恋愛ダメにしたのはおっさんの下心じゃん。

更新日: 2020/06/11
D@梟さんの感想

時雄おじさん立場を使用して弟子の女の子になんてよからぬことを考えてるのや… しかし一方的だけど純愛とも言える笑 理解者はほとんど居ないだろうけど…

更新日: 2019/11/15
86907b788e63さんの感想

主人公の勝手な下心の醜さばかりが鼻につく、嫌な印象の物語であった。まさに、古い因習にまみれた人物による小説だった。

更新日: 2019/07/31
557a6bf32ff3さんの感想

人間味があってよかった

更新日: 2019/06/10
ひみつさんの感想

きもいと噂だったけど、好きな人と別れてしまってその人の香りがとてつもなく恋しくなるのは、万人の共感を呼ぶ。主人公が自分のエゴのために大人の立場を利用している姿が、まさに私の思い描く「先生」ってかんじで、まあ全国の反面教師予備軍に読ませたい一品。先生のせいでひどい目に遭ったことのある人はたくさんいるとおもう。

更新日: 2019/03/14
c103bf650760さんの感想

妻子ある男の煩悶・懊悩・涙。大好物。

更新日: 2019/01/02
4a8a18b7d7c9さんの感想

とても綺麗なお話だと思いましたが、個人的には微か薄ら寒い物を感じました。

更新日: 2017/11/25
652b244de3c9さんの感想

国語の教科書で紹介されていたのに、先生が濁していたのが印象的で、ずっと気になっていた作品。変態的とは聞いていたけれど、想像よりプラトニックで、主人公の心情も理解範囲内だった。季節の移り変わり表現がとても好みで、リズミカルな文章が楽しかったから、別の作品にも手を出したい気になった。

更新日: 2017/06/18
35d0ebca9976さんの感想

面白かった。字体が古くて少し読みづらかった。

更新日: 2017/04/20
f3a4640540e4さんの感想

主人公の若い女の弟子に対する苦悩と悲しみがとても印象に残りました。妻がいる身の上で、若い女に手を出していいのかそれとも師としてきちんと監督責任を果たすのか、煩悶している描写が非常に多くて、今も昔も許されざる恋の冒険をしたいという男の気持ちは同じようなものなのかなと感じました。

更新日: 2017/03/24
f428b42452a5さんの感想

有名な場面が独り歩きしているけれどフェティシズムとしてではなく、多くの男性が心情を少なからず理解出来ると思うし、根本的な部分として失ってから気付く喪失感や人生のはかない一面、自分の弱さについて書かれているということにも目を向けて欲しい。自分の知る限り、そうした普遍的なテーマに対して当時一番新しい表現を実現した作品です。

更新日: 2017/03/05
3b4d73c81b71さんの感想

有名なラストの部分のみ知っていたので、気になって読んでみました。 読む前は全体的にフェティシズムな内容なのかなと思っていたのですが、意外にプラトニックな恋愛小説で面白かったです。 時雄の師弟愛と独占欲、理性と本能との間に揺れ動く心の内は、あらゆる時代の人に通ずるものだと感じました。 ラストの部分のみでこの物語を判断している人は是非とも本文を読んで欲しいです。

更新日: 2016/12/04
21c1b481b428さんの感想

最近のゲスな男の話題ばかりの中でプラトニックラブに悶々と、ほんと悶々としているだけの竹中先生は本当可愛らしい人です。あの有名なラストシーンはさすがにぎょっとしましたが。これのB面と言ってもいい、本編ではほとんど無視されている竹中先生の奥さんからみた『蒲団』の世界、中島京子の『FUTON』も併せて読むともっと楽しめます。

更新日: 2016/11/08
b9ef941530ccさんの感想

田山花袋の蒲団は芳子と時雄の結婚を目指した恋愛小説。結局、芳子は下らぬ書生に奪われ、結婚も出来なくなり、時雄は芳子が使ってた蒲団に寝て、芳子の匂いを想いだし、儚い恋を感傷しつつ、この縁談は終わる。

更新日: 2016/05/18
a483b9cacc63さんの感想

冒頭から続く作家の妄想的で一方的な恋心と嫉妬の模様が面白くあり、でも理解出来るところもあり面白かった。 ラスト2ページが衝撃的で、なんとも言えない気持ちになった。 私の中で期間を置いてまた読みたくなる作品になりました。

更新日: 2015/09/25
a5ac6a3c331fさんの感想

ハイカラな女学生に翻弄される主人公。一人で、恋い焦がれて 悩み、騒ぎ、装い 気の毒になるが滑稽。 もっと湿っぽい雰囲気の小説かと想像していたのですが、はずれて かえってよかった。  時代の言葉や、街中の様子、日常生活がわかり 面白い。 シュークリームを食べていました。

更新日: 2015/07/29
475f866ed0b9さんの感想

歴史の教科書に載っており、興味本位で読んでみました とてもシンプルな恋愛もので、とてもすらっと読めました 時代の違いをやすやすと乗り越えた、いい物語でした