代助は ニートの はしりみたいな結構な生活を 送っている。 書生も 主に似て 向上心を ほぼ 打ち捨てている。 そうは 言うものの 代助は 心臓の鼓動は 死に誘う警鐘みたいなものとの自覚はある。 代助の見つけた 突破口は そんなことなのか。 このさき どうするんだと 読み手を やきもきさせる仕掛けは そこそこ うまくいったと感じた。 引っ掛かる方も 少なからずいるかもしれない。
一度読んだ。
代助の告白から…。三千代の心は、「あなたが死ねと言えば死にます…。」主体が無いようで…それでも揺るがない信念をもつようになった。一方代助は…、最後の最後でようやく自分に言い聞かせた。「…世の中が動く」と。世の中が赤らむ決心は、三千代と共に生きるという、生への揺るぎない執着と受け止めたい。
代助は三千代さんとならどうなってもいいと覚悟を決めていたけど、それは本当の覚悟ではなかった。代助はいままで散々下に見ていた社会にこれから足を踏み入れる。はたして本当に足を踏み入れることができるのか。もしかしたら、これから踏み入れるはずの社会の影に潰されて、電車に乗ってそのまま発狂してしまうのかもしれないと思うと、代助の社会に侵食されていない、ある意味純粋な心が蝕まれていくことへの無情を感じます。
生活とは何か。 優先すべき価値? 代助は惨めな本当の人生をこれから初めて歩むのでは。
社会的な責任やしがらみを恐れ、あらゆる束縛を嫌う主人公の代助。彼の思考と転落の物語。 ヒロイン三千代は上記を指し示すためのただの道具であり、その心は描かれない。描かれない三千代に私は最も共感できた。
なに不自由なく育った金持ちのニートのボンボンが、親友の奥さんに恋しちゃう明治時代のライトノベル。