「子規の画」の感想
子規の画
しきのえ

夏目漱石

分量:約5
書き出し:余は子規《しき》の描《か》いた畫《ゑ》をたつた一枚持つてゐる。亡友の記念《かたみ》だと思つて長い間それを袋の中に入れて仕舞つて置いた。年數《ねんすう》の經《た》つに伴《つ》れて、ある時は丸《まる》で袋の所在を忘れて打ち過ぎる事も多かつた。近頃|不圖《ふと》思ひ出して、あゝして置いては轉宅の際などに何處へ散逸するかも知れないから、今のうちに表具屋へ遣《や》つて懸物《かけもの》にでも仕立てさせやうと云...
更新日: 2016/01/08
奥津棄戸明さんの感想

文学者、俳人としてまた人間として気鋭の存在であった亡友、正岡子規、彼が病床で描いた絵には、彼の文学、生き方からは見られない下手さがあって その下手さの中には面白味、愛嬌を感じられるものがあった。 なんだか、切なくなる文章だ。