「夏帽子」の感想
夏帽子
なつぼうし

萩原朔太郎

分量:約8
書き出し:青年の時は、だれでもつまらないことに熱情をもつものだ。その頃、地方の或る高等学校に居た私は、毎年初夏の季節になると、きまつて一つの熱情にとりつかれた。それは何でもないつまらぬことで、或る私の好きな夏帽子を、被つてみたいといふ願ひである。その好きな帽子といふのはパナマ帽でもなくタスカンでもなく、あの海老茶色のリボンを巻いた、一高の夏帽子だつたのだ。どうしてそんなにまで、あの学生帽子が好きだつたのか、...
更新日: 2023/08/26
阿波のケンさんさんの感想

人間見下されるのは嫌だが子爵で一高の若様と若い女性から過分の栄誉を受けるのも面映ゆい。その娘が真剣なだけに自分の嘘に居たたまれなくなる。青春だな。

更新日: 2017/08/25
c4583ff4dde4さんの感想

つまらない片意地から己の美しき信仰を泥へと追いやる他なくなった彼が、あまりにも印象深い。 しかし、もしあの場面で「いいえ、違います」等と言ってしまったらしまったで、きっと彼の中でその信仰に泥をかけてしまうことになったであろうことを考えると、きっぱり破り捨てたという結果からして、あれも悪い選択肢ではなかったのかもしれないとつい思いを馳せてしまう。

更新日: 2016/05/21
YELLOWテントマンさんの感想

青年の青臭い感情。勢いよく読めた。偽装すると、バレた時が恥ずかしいと言うこと。

更新日: 2016/04/18
芦屋のまーちゃんさんの感想

そんな都合のいい偶然は有り得ない、と思いつつ読む「小説」。 朔太郎氏も一高に憧れていたのか! そう言えば、最近、学歴詐称問題が世間を賑わしたが、他人を欺く心理状態を上手く表現している。

更新日: 2015/10/27
4c60046db05eさんの感想

みずみずしく、そしてはかない。誰もが1度は経験したようなほろ苦さ、若いってすばらしい。