「美しき死の岸に」の感想
美しき死の岸に
うつくしきしのきしに

原民喜

分量:約27
書き出し:何かうっとりさせるような生温かい底に不思議に冷気を含んだ空気が、彼の頬《ほお》に触れては動いてゆくようだった。図書館の窓からこちらへ流れてくる気流なのだが、凝《じっ》と頬をその風にあてていると、魂は魅せられたように彼は何を考えるともなく思い耽《ふけ》っているのだった。一秒、一秒の静かな光線の足どりがここに立ちどまって、一秒、一秒のひそやかな空気がむこうから流れてくる。世界は澄みきっているのではある...
更新日: 2020/10/06
815f95676dc7さんの感想

妻を亡くすことは経験の無いことなのだけど、何故か共感できるのは美しく丁寧な文章のせいであると思った。 病床にある妻がずっと居てくれる、この状況がずっと続いてほしいと思う主人公の気持ちが痛々しくも好ましく感じた。