本棚の 上に 戦艦「那智」が 飾ってある。海軍の 作業服を 見に纏い 夜を 徹して 艦船 模型の 作製に いそしむのだから 相当な 海軍フェチで つぎなる 構想は 動力用の エンジンを 搭載する という。あるとき 本物の 酔った 海兵が 夜間 転がり 込んできて 人の 寝床に 図々しく 潜り込んで 牧野は 寝るところが ないので 錨の マークの 付いた 毛布に 包まって 寝たという。本物の 軍艦は 次々と 撃沈され 遺されのは 美しい 軍港と 模型で ある。過ぎてしまえば 夢の また 夢か。
昭和10年には軍艦模型が趣味として語られるようになっていたのが、まず興味を引く。作者にとっては若い晩年とも言えるこの年。横須賀の熱気や緑の美しさを、漢詩から借りてきて表現するほど穏やかな日々であったようだ。 だがこの後の余裕が無くなっていく世上を感じて、逃避するような感じもある。さすがに巧みな文章で、もう少し評価されて良い作家と思ったな。
おもしろくない