「山想う心」の感想
山想う心
やまおもうこころ

松濤明

分量:約4
書き出し:星の鈍くまたたく夜、麦田の上を身を切るような風が渡る。外套の襟を深く立てて東京へ行く一番列車に乗るべく急ぐ田舎道は、霜柱が夜目にも白く、ざくりざくりと足の下に砕ける音を聞いていると、そぞろ山が思い出されてくる。こんな夜の山の寒さはまた格別であろう。それを思えば家にいて温かいこたつに当っている方が数等楽な理であるが、行けないとなると山想う心は一入《ひとしお》、切ないものがある。何故こうも山が想われる...
更新日: 2025/03/07
65c8aadc88adさんの感想

雙之川喜1941  人生を 貸借対照表に なぞらえれば 苦しい ことの 方が どう見ても 多いに 決まってる。それでも 山行を 夢想するのは 宗教心にも 似通った 理外の 理によって 突き動かされ 山に 向かうのかも 知れないと 感じた。    この 七階の 窓からは 丹沢山塊に 遮られて 富嶽の 全容は 視認できず わずかに 頭頂部のみ 雲に 隠れながら 下部の 稜線は 想像の 中で 思うのみ である。それでも こころ 少なからず 充たされる。

更新日: 2016/05/02
YELLOWテントマンさんの感想

なぜ、苦しい思いをしてまで、山に登りたくなるのか、簡潔に書いてある。作者は若くして亡くなったが、登るつもりの山の計画が全て達成出来たのか気になる。