「人生論ノート」の感想
人生論ノート
じんせいろんノート
初出:下記以外「文學界」文藝春秋社、1938(昭和13)年6月~1941(昭和16)年10月

三木清

分量:約184
書き出し:死について近頃私は死というものをそんなに恐しく思わなくなった。年齢のせいであろう。以前はあんなに死の恐怖について考え、また書いた私ではあるが。思いがけなく来る通信に黒枠のものが次第に多くなる年齢に私も達したのである。この数年の間に私は一度ならず近親の死に会った。そして私はどんなに苦しんでいる病人にも死の瞬間には平和が来ることを目撃した。墓に詣《もう》でても、昔のように陰惨な気持になることがなくなり...