山男の四月
やまおとこのしがつ
初出:「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」盛岡市杜陵出版部・東京光原社、1924(大正13)年12月1日分量:約15分
書き出し:山男は、金いろの眼を皿《さら》のやうにし、せなかをかがめて、にしね山のひのき林のなかを、兎《うさぎ》をねらつてあるいてゐました。ところが、兎はとれないで、山鳥がとれたのです。それは山鳥が、びつくりして飛びあがるとこへ、山男が両手をちぢめて、鉄砲だまのやうにからだを投げつけたものですから、山鳥ははんぶん潰《つぶ》れてしまひました。山男は顔をまつ赤にし、大きな口をにやにやまげてよろこんで、そのぐつたり...