宮沢賢治のお話のなかで、よだかの星の次に好きなお話です。 よだかの星といくつか共通点があって、(主人公が動物、ラストが物悲しい、景色や情景の描写が綺麗……など)、報われなさが好きです。 主人公が動物だけれども、ひとの心理描写はよくかけていて、調子にのって、狐の悪巧みにのってしまうところなど、じつにひとらしい、とおもいました。 貝の火という宝石は、人の悪を糧に輝いて、最後は持ち主を見放してしまう。 その残酷さがすきです。
貝の火は 宝珠の意である。 雲雀を助けて 手に入れた。 子兎は 思い上がり 馬▫リス▫狐▫モグラに迷惑をかける。 宝は 離れないと うそぶいていた子兎は 狐がカケス▫鶯▫梟▫雀▫鶸 中でも 雲雀を捕まえるに及び ついにバチがあたってしまう。 開放された鳥達が集まる場面が とくに良い。 お約束の オノマトペは、カンコカンコカンとなる。
子ウサギホモイ君のシビアな話。子供なので、もう少し大目にみてあげても良いのでは、と思うが賢治先生は悪い行いにはとても厳しい。
まだ幼いホモイは慢心の愚かしさには気づけなかったと思います。 純粋だからこそひばりの子供を夢中で助けたり、狐の言うことを信じてしまったりする。 貝の火の描写が美しく、だからこそ尊いものは扱いを誤るとあっというまに消えてしまうんですね。 ホモイが悪いことをしてもなかなか宝珠は曇らず、ある出来事を境に一気にくだけ散るのが、なにかやるせなかったです。