「或る女」の感想
或る女
あるおんな

2(後編)

2(こうへん)初出:「有島武郎著作集 第九巻」叢文閣、1919(大正8)年6月

有島武郎

分量:約553
書き出し:二二どこかから菊の香がかすかに通《かよ》って来たように思って葉子《ようこ》は快い眠りから目をさました。自分のそばには、倉地《くらち》が頭からすっぽりとふとんをかぶって、いびきも立てずに熟睡していた。料理屋を兼ねた旅館のに似合わしい華手《はで》な縮緬《ちりめん》の夜具の上にはもうだいぶ高くなったらしい秋の日の光が障子《しょうじ》越しにさしていた。葉子は往復一か月の余を船に乗り続けていたので、船脚《ふ...
更新日: 2021/07/03
9db341ba634aさんの感想

倉地のような男のどこに何の魅力があるのか。命懸けでこんなくだらない下品な男に狂う葉子。またその葉子の中にも優れた所は容姿だけで他に何も見当たらないのだから始末に負えない。ひたすらに愚かものであり愚かなまま死ぬ。明治時代の骨董のような作であるとしても何一つ汲めなかった。