「私の父と母」の感想
私の父と母
わたしのちちとはは
初出:「中央公論」1918(大正7)年2月

有島武郎

分量:約9
書き出し:私の家は代々|薩摩《さつま》の国に住んでいたので、父は他の血を混えない純粋の薩摩人と言ってよい。私の眼から見ると、父の性格は非常に真正直な、また細心なある意味の執拗《しつよう》な性質をもっていた。そして外面的にはずいぶん冷淡に見える場合がないではなかったが、内部には恐ろしい熱情をもった男であった。この点は純粋の九州人に独得な所である。一時にある事に自分の注意を集中した場合に、ほとんど寝食を忘れてし...
更新日: 2021/05/16
496b7f29770aさんの感想

薩摩の男はやっせんぼな癖に我が強くてあまり人に相談せずに実行しようとし、また言い出したら聞かない癖もあり……有島氏のお父上も、やはり薩摩の血が流れてるなぁと思えた。お母上はなかなか独特な方で、気難しい感じが伝わってきたが、精神修養し、安定されたのは本当によかったと思う。不満は多々あったようだが、御両親をとてもよく慕っておられたように思えた。

更新日: 2019/11/06
19双之川喜41さんの感想

 有島の父親は 秘めたる情熱を持った人であり 母親は 病的な虚言癖をもて余すようなところが あったらしい。 芥川にしても 宿命的な血の呪いを 創作に昇華させることにより 世に出た。 世上 言われるように  狂気と正気は  紙一重なのかもしれない。 共に、自死したことは 何やら暗示的ではある。