「聖ニコラウスの夜」の感想
聖ニコラウスの夜
せいニコラウスのよ
初出:「三田文学 四ノ一―四」1913(大正2)年11月~12月

森鴎外

分量:約37
書き出し:テルモンド市の傍《かたはら》を流れるエスコオ河に、幾つも繋いである舟の中に、ヘンドリツク・シツペの持舟で、グルデンフイツシユと云ふのがある。舳に金色《きんしよく》に光つてゐる魚《うを》の標識《しるし》が附いてゐるからの名である。シツペの持舟にこれ程の舟が無いばかりでは無い、テルモンド市のあらゆる舟の中でも、これ程立派で丈夫な舟は無い。この大きい、茶色の腹に、穀物や材木や藁や食料を一ぱい積んで、漆塗...
更新日: 2025/05/29
65c8aadc88adさんの感想

雙之川喜1941  その地では 聖ニコラウスの 夜に 産まれる  赤ちゃんは 縁起が 良いと されているけど 妻の 出産の日に 男は 溺れ かかった 男を 助けようとして 妻を 辱め 子を 孕ませた 憎き 男を ことさらに 溺死させて しまう。達意の 情景の 描写は 味わいが あり 上質の 作品と 感じた。

更新日: 2016/04/13
3e9c4b240bacさんの感想

ルモンニエーが世間的評価の低いことを遺憾に思っている鴎外翁が、ちょっとした大胆な試みを施行しながら和訳した作品。 臨月の妻をもつ主人公、あるとき河で溺れかけの男を助けようとした。しかしその男は奇しくも、わが愛しい妻を孕ませた憎き男だった。 二人は溺れかけながら揉み合って、結果……という話。 内容はともかく森鴎外のこの作品への愛は伝わってきたな。 とくに家族の交情の暖かさはよかったです。