「卑怯者」の感想
卑怯者
ひきょうもの

有島武郎

分量:約14
書き出し:青黄ろく澄み渡った夕空の地平近い所に、一つ浮いた旗雲には、入り日の桃色が静かに照り映《は》えていた。山の手町の秋のはじめ。ひた急ぎに急ぐ彼には、往来を飛びまわる子供たちの群れが小うるさかった。夕餉《ゆうげ》前のわずかな時間を惜しんで、釣瓶落《つるべお》としに暮れてゆく日ざしの下を、彼らはわめきたてる蝙蝠《こうもり》の群れのように、ひらひらと通行人にかけかまいなく飛びちがえていた。まともに突っかかっ...
更新日: 2016/05/13
芦屋のまーちゃんさんの感想

そうなんだよな! こういうことはよくあることなんだ。 みんながみんな、ある事件をきっかけに、ゴロっと敵側になってしまうんだ。野次馬、傍観者、評論家、第三者、高みの見物者、などなど登場人物は多数なれど罪人たる主人公は独り、孤独だ! 同情する者も、遠目ではいるが、身代わりには決してならない。 面倒なことには関わりあいたくないのだ! 孤独な罪人と大多数の卑怯者達でこの世は動いている。