病により足を失った男。はじめは夢遊病の話かと思いきや、次第に雲行きが怪しくなっていく。脚を失ったことで、自分も知らなかった己の底にある狂気めいたものが少しずつ姿を現す時、恐怖とともに愉悦を感じる男の感情が実に生々しく、リアルで恐ろしかった。最後に、冒頭の病棟における日常風景ともいえる描写があるのが尚恐ろしい。読了後、そこに書かれたこと、それは果たして現実なのか夢なのか、何を持ってして区別するのか分からなくなった。 今自分が生きていると思い込んでいる今も、もしかしたら夢なのかもしれない、と思わざるを得なかった。
ドグラ・マグラっぽさがある。 さすが久作。ドグラ・マグラを読む前にこれを読んでおくと夢野久作の世界観やら幻惑やら諸々が掴めると思う。 何度読み返しても真相が分からないようになっている。夢オチなのに現実、The夢野久作って感じになっている。