「二重心臓」の感想
二重心臓
にじゅうしんぞう
初出:「オール読物」1935(昭和10)年9、10、11月号

夢野久作

分量:約173
書き出し:不明の兇漢に探偵劇王刺殺さる孤児となった女優|天川呉羽《あまかわくれは》哭《な》いて復讐を誓う秘密を孕む怪悲劇市内大森区山王×××番地|轟《とどろき》九蔵氏(四四)は帝都呉服橋電車通、目貫《めぬき》の十字路に聳立《しょうりつ》する分離派式五層モダン建築、呉服橋劇場の所有主、兼、日本最初の探偵恐怖劇興行者、兼、現代稀有の邪妖劇名女優、天川呉羽《あまかわくれは》嬢の保護者として有名であったが、昨三日(...
更新日: 2021/03/03
ひまわりさんの感想

2,3日に分けて読んでしまったのもあって、登場人物の整理が付かず理解が追いつかない場面もあった。途中で放棄するのもなんだと思い、特に刺さることも無いまま読み進めていったら最後でやられた。 同性愛について触れられる部分も多く、着付けを手伝って貰わないところなど後になると様々な伏線があったと気付いたが最後は大胆にそれを回収してきた。 無関係の観客にとってはよく出来た芝居であり、本当にそれ以上でもそれ以下でもない。 夢野久作の世界をたっぷりと味わえた。 ただ最後の急速に真実へ向かっていく感覚は再読では味わえないため、初めて読む人にはその感覚を楽しんでもらいたいと思う。