「甲賀三郎氏に答う」の感想
甲賀三郎氏に答う
こうがさぶろうしにこたう

夢野久作

分量:約12
書き出し:ぷろふいる誌、九月号所載、甲賀三郎氏の「探偵小説講話」末尾に於て、特に私が文芸通信誌上に書いた「探偵小説の真使命」と称する一文のために「夢野久作君に問う」の一項を設けられたについて御回答申上る事を近頃の欣快《きんかい》とし且つ光栄とするところである。ところが実を云うと私は「御回答申上る言葉がない」と云う以外に御回答申上る言葉がないのである。それは何故か……。第一に私の書いた「探偵小説の真使命」は文...
更新日: 2019/10/02
ハルチロさんの感想

題名にある『甲賀三郎氏』は、本作品の著者「夢野久作」氏の活動期に活躍された“推理作家”である。「青空文庫」でも作品が取り上げられている。甲賀氏の作品は科学的実証が裏付けにあり、個人的には、好みの作家である。本作品は、書評を通じた甲賀氏と夢野氏の問答(批評)が綴られている。甲賀氏の“探偵小説観”と夢野氏の“探偵小説観”は、個人的には、異なると思う。“科学的実証”を重視する(甲賀氏側)か、“文学的芸術性”を重視する(夢野氏側)か、が争点となろう。本作品は、この争点における探偵小説の“科学対芸術”の比重を、夢野氏によって表現されている。但し、愚生には、抽象的かつ難解な文章表現のため、夢野氏の真意を図りきれなかった。