題名にある『甲賀三郎氏』は、本作品の著者「夢野久作」氏の活動期に活躍された“推理作家”である。「青空文庫」でも作品が取り上げられている。甲賀氏の作品は科学的実証が裏付けにあり、個人的には、好みの作家である。本作品は、書評を通じた甲賀氏と夢野氏の問答(批評)が綴られている。甲賀氏の“探偵小説観”と夢野氏の“探偵小説観”は、個人的には、異なると思う。“科学的実証”を重視する(甲賀氏側)か、“文学的芸術性”を重視する(夢野氏側)か、が争点となろう。本作品は、この争点における探偵小説の“科学対芸術”の比重を、夢野氏によって表現されている。但し、愚生には、抽象的かつ難解な文章表現のため、夢野氏の真意を図りきれなかった。