「溺れかけた兄妹」の感想
溺れかけた兄妹
おぼれかけたきょうだい
初出:「婦人公論」1921(大正10)年7月

有島武郎

分量:約18
書き出し:土用波《どようなみ》という高い波が風もないのに海岸に打寄《うちよ》せる頃《ころ》になると、海水浴に来《き》ている都《みやこ》の人たちも段々別荘をしめて帰ってゆくようになります。今までは海岸の砂の上にも水の中にも、朝から晩まで、沢山の人が集って来て、砂山からでも見ていると、あんなに大勢な人間が一たい何所《どこ》から出て来たのだろうと不思議に思えるほどですが、九月にはいってから三日目になるその日には、...
更新日: 2025/01/14
65c8aadc88adさんの感想

之川喜 海辺から 烈しく 沖にむかう 離岸流も おそろしいけど 人生の 予期せぬ 急な流れでも それを 乗りきって 難を逃れるのには誰だって てこずる。溺れかけた 兄弟の 気持ちを 素描して 見事であると 感じた。

更新日: 2019/06/08
ece7d750d914さんの感想

非常に難解な小説であるのは確かである。何だろうか。 人間の宿命というのは、産まれ落ちた幼少の頃より、決められているもので、時にそれは自らの生命を優先させるために残酷な決断をも、善しとする性である。 これが、海に溺れるという体験によって、本能としての性が浮き彫りにされてしまった、ということであろうか。 いやはや、作者の文才には誠に恐れ入る。

更新日: 2018/05/30
61107fd1f9f1さんの感想

上の子は自分を優先することを躊躇ってしまう。誰だって自分の命が大切に思う。 下の子は上の子の葛藤を知らずに文句を垂れるのが少し辛い。しかしそれもしようがないこと。 最後のテンポは早く、想像させられるような所があるので、またじっくり考えたいと思います。

更新日: 2015/12/10
a5ac6a3c331fさんの感想

どんなにか恐ろしく、また後悔の念に 苛まれたことでしょう。 多感な時期の 思い出は いつまでも残り、人生の様々な場面で なんらかの影響を 与えますね。