之川喜 海辺から 烈しく 沖にむかう 離岸流も おそろしいけど 人生の 予期せぬ 急な流れでも それを 乗りきって 難を逃れるのには誰だって てこずる。溺れかけた 兄弟の 気持ちを 素描して 見事であると 感じた。
非常に難解な小説であるのは確かである。何だろうか。 人間の宿命というのは、産まれ落ちた幼少の頃より、決められているもので、時にそれは自らの生命を優先させるために残酷な決断をも、善しとする性である。 これが、海に溺れるという体験によって、本能としての性が浮き彫りにされてしまった、ということであろうか。 いやはや、作者の文才には誠に恐れ入る。
上の子は自分を優先することを躊躇ってしまう。誰だって自分の命が大切に思う。 下の子は上の子の葛藤を知らずに文句を垂れるのが少し辛い。しかしそれもしようがないこと。 最後のテンポは早く、想像させられるような所があるので、またじっくり考えたいと思います。
どんなにか恐ろしく、また後悔の念に 苛まれたことでしょう。 多感な時期の 思い出は いつまでも残り、人生の様々な場面で なんらかの影響を 与えますね。