白壁の別荘に 父親と一緒に住んでいて 親の愛情を 一身に注がれている お嬢様は 親戚の朝食会に 馬車ではなく 車で出かける。届け物の 果物の篭や 花壇の薔薇を 明かりをつける場所を 外したりして 飾りつけ 意気揚々と でかけた。華麗なボンド映画を 観ているみたいだと 想った。さて 昼頃 屋敷戻ってきた お嬢様に 予期せぬ 出来事が 突発してしまう という筋立てである。
さて、これは一体どう読むべきか。鴎外が気に入って翻訳したものと見るべきか。 ベタベタに甘やかされたお嬢様の、突然で壮絶な死。それは読者にとって衝撃であり、そこに到る過程への興味を引き起こすものである。しかしながら、それへのヒントは少なく読者は確証の持てない強引な解釈をするしかない。 もっともらしい顔をしながら意地悪く読者を馬鹿にして、イヒヒと歯を見せているような、つまり鴎外の好きそうな話である。そしてそれ以上の価値はない作品である、と私は見た。
途中まで平和な話だったが、急展開で終わってびっくりした。
森鴎外のこ気味いい訳でスラスラと読めた。薔薇に執着(?)したお嬢さまは何だかクルクルと頭の中で踊りだしそうに臨場があった。最後のシーンはもう少し美しくして欲しかったな。 馬車でかけているところはむせ返りそうな薔薇の香りをそうぞうした。
薔薇を愛したお嬢様。薔薇に埋もれたいと言ったお嬢様。誰もに好かれ、愛されていたのに、唐突にぷつりと糸は切られてしまう。薔薇に埋もれたお嬢様は皮肉かそれとも幸福か。
初めは美しいお嬢様の優雅な日常の話かと思いましたが。意表をつかれました。
薔薇に抱かれて、自らも綺麗に咲いたお嬢様。若い死は、どんな形でも綺麗に見えるものですね。