「旅愁」の感想
旅愁
りょしゅう

横光利一

分量:約1443
書き出し:家を取り壊した庭の中に、白い花をつけた杏の樹がただ一本立っている。復活祭の近づいた春寒い風が河岸から吹く度びに枝枝が慄えつつ弁を落していく。パッシイからセーヌ河を登って来た蒸気船が、芽を吹き立てたプラターンの幹の間から物憂げな汽缶の音を響かせて来る。城砦のような厚い石の欄壁に肘をついて、さきから河の水面を見降ろしていた久慈は石の冷たさに手首に鳥肌が立って来た。下の水際の敷石の間から草が萌え出し、流...
更新日: 2019/10/25
19双之川喜41さんの感想

 古神道の弊帛は 集合論の概念に類似しているという 横光の記述を 解りにくいと指摘する向きがあるけど 深読みせずに いろいろな布切れを 集めて捧げるので 言ったまでと思う。 恋愛に 日本文化を投影させることは 卓越した着想と感じた。