やはり彼の作品は一味違うな。日本人は戦地に行くとコロット心の有り様が変わって仕舞うと言っていると思う。その気持ちを引きずって空気銃で少女を傷つけた。気弱なその父親が見せた恨みのこもった目付きに後悔を感じた。少女を妻にすることが彼の責任の取り方だった。
内地と外地では時間の密度が違う。外地では浮いたような感じで敵兵を撃っても特別の感慨は無い。然し内地に戻ってツネちゃんの膝頭を傷付けただけで狼狽してしまう。彼女の親に睨まれて萎縮する。戦争がもたらす感覚の変異を暗示した問題作。
傷病兵が 温泉療養場の射的場の娘を 銃で 発作的に 傷つける。 ここでは 雀は ブリキの的を言う。 娘の父親の 憎悪に満ちたまなざしを 兵はうけとめる。静かな反戦を 伝えていると感じた。