「雀」の感想
すずめ

太宰治

分量:約17
書き出し:この津軽へ来たのは、八月。それから、ひとつきほど経って、私は津軽のこの金木町から津軽鉄道で一時間ちかくかかって行き着ける五所川原《ごしょがわら》という町に、酒と煙草を買いに出かけた。キンシを三十本ばかりと、清酒を一升、やっと見つけて、私はまた金木行の軽便鉄道に乗った。「や、修治。」と私の幼名を呼ぶ者がある。「や、慶四郎。」と私も答えた。加藤慶四郎君は白衣である。胸に傷痍《しょうい》軍人の徽章《きし...
更新日: 2023/03/19
阿波のケンさんさんの感想

やはり彼の作品は一味違うな。日本人は戦地に行くとコロット心の有り様が変わって仕舞うと言っていると思う。その気持ちを引きずって空気銃で少女を傷つけた。気弱なその父親が見せた恨みのこもった目付きに後悔を感じた。少女を妻にすることが彼の責任の取り方だった。

更新日: 2023/03/15
鍋焼きうどんさんの感想

内地と外地では時間の密度が違う。外地では浮いたような感じで敵兵を撃っても特別の感慨は無い。然し内地に戻ってツネちゃんの膝頭を傷付けただけで狼狽してしまう。彼女の親に睨まれて萎縮する。戦争がもたらす感覚の変異を暗示した問題作。

更新日: 2020/11/14
19双之川喜41さんの感想

 傷病兵が 温泉療養場の射的場の娘を 銃で 発作的に 傷つける。 ここでは 雀は ブリキの的を言う。 娘の父親の 憎悪に満ちたまなざしを 兵はうけとめる。静かな反戦を  伝えていると感じた。