なんとも言えない話
これが国語の教科書に載ってて普通に読んでた学生時代を思い出した。 今でこそ、この物語の意味がよく分かる気がする。
酸鼻(さんび)なくして、悲惨な死にざまを 読むことは 難しい。 袋は 死に装束であり 手紙は 弔辞であろう。 不条理な死を 踏み台にして 成長してきた我が国ともいえる。 先人の 無念を 想う。
かつて、 私も土工の端くれであった。 セメント粉のその微細さが 鼻にまとわりつく所在なさや、 振りかかるその粉が、 髪の毛から精彩をいかに奪うかを自己の体験として知っている。 描写のいちいちが、胸をついた。 貧困と苦悩。セメントに飲み込まれた彼女の絶望。 一方通行の、 押し付けの様な手紙の内容。 誰が悪い訳じゃあない。 ただただ人生と言う大河に押し流されて行く人と人。 それぞれは出会う事もなく、救われる事もなく人生は続いて行く。 文章の端々に匂い立つ様な労働者の汗を感じた。 連中の、しようもなく繰り返す日常が透けて見えた。 悲哀の酒の、 酩酊の向こうにある、 与三の最後の台詞、「へべれけに酔っ払いてぇなあ。そうして何もかも打ち壊してえなあ 」 そこにプロレタリアートの本音をみた。私は大変な感銘を受けた。 その言葉以上に、無名の手紙への返事はないからだ。 どん詰まりの生活。 明日は我が身。 名状し難い薄暗がり、 細君の腹に宿る命。 そこに彼がみたものは微かな希望、そう思いたい。
あまり本を読まない私でも読み終えることが出来た。漢字の読みや、言葉の言い回しなどつっかえるところが幾つか。話の筋に差し障るほどではない。 この後、どうなったんだろう?っていうミステリでも読んでるような動悸のする感じ。あ、でもこれは時代背景とか、既にある書評を読んだらもっとも面白いかも、と思いました。
たしか中学の時に読んだ作品。当時は少し泣きそうになったのを覚えている。 今は…恋人の死に様をこんな言葉にできるのか、とか考えてしまった。失われる命と産まれる命、毎日どこかで起こっていること。
現文の先生が大好きな作品ということで気になって。 切ない。セメントになってしまった恋人。労働者は何もできない。
人間椅子のようなオチであることを期待していたのですが...この様子だと年若い彼は本当にセメントにされてしまったのでしょう。 顔も、声も知らない相手からの信じられないような手紙は家族を養う彼にどんな変化を与えたのでしょう? 高校の時に蟹工船を読んでいた私に国語の先生が薦めてくれたプロレタリア文学ですが、こんなに短いのかと驚きました。でも、この短い話の中で当時の労働者の現状がひしひしと伝わってくるようなきがします。
変哲もない日常におこった、別の場所にいる人との偶然の出会い
知らない作者の作品を読もうと思い、ストーリーも想像できないような題名だったこの作品を読ませて頂きました。 自分とは全く違う境遇の人がふとした瞬間に繋がるんだと不思議な気持ちになりました。一方で恋人がコンクリートになって死んだ人と、毎日の労働と低賃金で家族を養う人。もうすぐ子どもも産まれる、世界ってどこかで必ず人が死んで、産まれる、当たり前だけど、実感の湧かない感じ。 この後彼はお返事はしたのでしょうか。あの恋人もどこで使われてしまうんでしょうか。もしかしたら質の悪い悪戯かもしれないけれど、私ならば、お返事したと思います。
短編。ホラーのような陰鬱な空気に引き込まれる。 短い文章の中で、労働者の埃っぽい生活と辛苦が生々しく描かれている。 手紙を読む前は生活にうんざりしていた様子の主人公が、読んだ後には命や生活の大切さを噛み締めていると見れば救いがある。が、プロレタリア文学という性質を考えると、どれ程必死に働いても結局自分達の生活は変わらないし、何かに保証されることもないのだという諦めと空虚な絶望を実感しているとも読める。 個人的には好みだが、好き嫌いが別れそうな作品。
土木の仕事をしていました。 コンクリートとは、長年付き合ってきましたが、この小説を読んでいて、もしやと想像していたらその通りの話になりました。今でも、同じような事故が絶えません。
樽とお腹の中をシンクロした?そうでもない気がする。それならば、内容は比較的重いね。
どん暗い、重い作品。短いわりに読むの疲れた…
淡々とした仕事とありそうな日常の重荷のなかに投げ込まれる手紙はあまりに劇的な死を嘆いている。浸ることもできず新たな生、新たな足かせは主人公を現実に縛り付ける。 はっきりしたコントラストの作品。
これは伝えたいことが、良くわからないようで、感覚的にわかる、伝わってくる話である。 労働者の苦しみ。 ひしひしと感じるではないでしょうか。 この話をみんなに読んでほしい。 こういう中で稼がれているお金。 またはこういう中で、先祖は過ごして、今の自分がある。
コンビニのおにぎりに人の指先が混入していたこともあったし、先日はインスタントラーメンに虫が入っていたこともあった。そういうことは、現代だからこそ注目されるのであって昔なら内々に解決されていただろう。きっと、こんな話は、これよりも陰惨な話があったはずだ。
現実にあつても不思議でない 残酷でも日常でしよう❗
三回目だろうか読んだのは 何度でも湧き上がる感情 皆に共有したい
国語の教科書で読んだ記憶あり。恵那山が出てくるので調べたら中津川のダムだった。 教科書で読んだ時はプロレタリア文学は暗いだけの話だと思ったけど、今読むとその悲哀がわかるような気がする。