奇妙な遠眼鏡
ふしぎなとおめがね
初出:「九州日報」1925(大正14)年9月分量:約18分
書き出し:ある所にアア、サア、リイという三人の兄弟がありました。その中《うち》で三番目のリイは一番|温柔《おとな》しい児でしたが、ちいさい時に眼の病気をして、片っ方の眼がつぶっていましたので、二人の兄さんはメッカチメッカチとイジメてばかりおりました。リイは外へ遊びに行っても、ほかの子供にやっぱしメッカチメッカチと笑われますので、いつもひとりポッチであそんでいましたが、感心なことに、どんなに笑われてもちっとも...