気まま者の日記
きままもののにっき
初出:「映画評論」1935(昭和10)年9月号分量:約4分
書き出し:気まま者の日記山中貞雄ある日・1近頃、大衆小説を読んであまりこころよく思わないことがある。それは、往々にしてその作者が、自作の映画化を企図して書いていると思いなされる場合があるからだ。文壇の誰だったかが、「文学は文学、映画は映画と言う風に別々に進んだ方がいいのじゃないか」と言う意味のことを書いていたが、一応頷ける言い分ではあるまいか。僕等が文芸家側から求めるものは、在来の映画物語ではなく又シナリオ...