「凶」の感想
きょう

芥川竜之介

分量:約3
書き出し:大正十二年の冬(?)、僕はどこからかタクシイに乗り、本郷《ほんがう》通りを一高の横から藍染橋《あゐそめばし》へ下《くだ》らうとしてゐた。あの通りは甚だ街燈の少い、いつも真暗《まつくら》な往来《わうらい》である。そこにやはり自動車が一台、僕のタクシイの前を走つてゐた。僕は巻煙草を啣《くは》へながら、勿論その車に気もとめなかつた。しかしだんだん近寄つて見ると、——僕のタクシイのへツド・ライトがぼんやり...
更新日: 2024/03/15
067d56104a71さんの感想

どんな出来事も凶と感じてしまう痛々しい心象を書いたお話。 末期の目でみた風景を書いた作品はどれも文学的で美しいですね。 話題は平凡ですが、どんな題材でも「読まされる」文章力は見習いたいものです。

更新日: 2020/08/07
19双之川喜41さんの感想

 葬儀用の自動車が 前を走っていた。林の中を歩いていたら 枝の間から 人間の足が2本 見えたように 感じた。麦酒瓶に 人影が 浮かび上がったように 見えてしまった。芥川は 何か 警告を 受けたように 感じたようで 彼の心根が 痛々しいと 想った。