「解かれた象」の感想
解かれた象
とかれたぞう
初出:「女性改造」1924(大正13)年1月

寺田寅彦

分量:約9
書き出し:上野《うえの》の動物園の象が花屋敷《はなやしき》へ引っ越して行って、そこで既往何十年とかの間縛られていた足の鎖を解いてもらって、久しぶりでのそのそと檻《おり》の内を散歩している、という事である。話を聞くだけでもなんだかいい気持ちである。肩の凝りが解けたような気がする。事実はよくわからないが、伝うるところによるとこの象は若い時分に一度かんしゃくを起こして乱暴をはたらいた事があるらしい。それがどういう...
更新日: 2022/07/27
decc031a3fabさんの感想

動物園の象を見ていると、いろいろ人生や人間社会について考えてしまっているものだ。象と飼育員との関係とは別であるかもしれないし、勝手な同情だろうけれども、ひょっとして動物園とは人間が思索に耽るための施設であるかもな。