「鐘に釁る」の感想
鐘に釁る
かねにちぬる
初出:「応用物理」1933(昭和8)年1月

寺田寅彦

分量:約5
書き出し:昔シナで鐘を鋳た後にこれに牛羊の鮮血を塗ったことが伝えられている。しかしそれがいかなる意味の作業であったかはたしかにはわからないらしい。この事について幸田露伴《こうだろはん》博士の教えを請うたが、同博士がいろいろシナの書物を渉猟された結果によると釁《ちぬ》るという文字は犠牲の血をもって祭典を挙行するという意味に使われた場合が多いようであるが、しかしとにかく、一書には鐘を鋳た後に羊の血をもってその裂...
更新日: 2025/09/29
艚埜臚羇1941さんの感想

  おそらく 鋳物として 完成した 鐘は より 親しまれる 音響を 追究して 後の 工程として 動物の 生き血を 振りかけ 細部を 修整して さらなる 高味を 目指す 儀式張った 経過が 予期しない 効き目を 示したのかもしれない。釁るが 経年 劣化により 効用が 薄れて くることは ここでは さしたる 問題には してないようである。

更新日: 2015/03/20
c4151518d1bfさんの感想

乱読。 完成した鐘に、羊・牛の血をかけるという文化を初めて知り、非常に面白かった。私には、かなり儀式的な行為にしか思えないこれを、実用的な面から検証するというのも面白い視点であった。