「残されたる江戸」の感想
残されたる江戸
のこされたるえど

柴田流星

分量:約107
書き出し:目次江戸ッ児の教育顔役の裔三ヶ日と七草揚り凧藪入と閻魔節分と鷽替初卯と初午梅と桜弥助と甘い物渡し船汐干狩山吹の名所節句筍めし藤と躑躅と牡丹初松魚釣りと網初袷五月場所花菖蒲稗蒔苗売り木やり唄浅草趣味八百善料理風鈴と釣忍井戸がえ箱庭と灯籠定斎と小使銭青簾夏祭り心太と白玉川開き草市と盂蘭盆灯籠流し蒲焼と蜆汁丑べに朝顔と蓮滝あみ虫と河鹿走り鮎縁日と露店新内と声色十五夜と二十六夜細見と辻占売りおさらい常磐津...
更新日: 2023/10/24
00813f8b221dさんの感想

巖谷小波門下の作家である著者が、明治に残る江戸の風俗や習慣を列挙してまとめたエッセイ集的な作品。 本作が世に出たのは1911年で、慶応以前の江戸生まれの人々もまだ多くが現役で活動していたと考えられ、作中に登場する習慣もほぼ江戸そのままの形と見て良いだろう。 著者の柴田流星は明治生まれだが江戸の下町(現:東京都文京区)出身であり、江戸っ子の心意気を度々説いている。 東京が近代都市として発展するのは結構だが、昔ながらの江戸っ子気質も皆忘れずにいて欲しいという思いが伝わる。 さて、今の東京都民にその心意気はあるだろうか?