泣けてきます。創作上の少女だと思いますが、健気でおかしみがあり、いとおしさと不憫さが沸いてきました。何ら気負いもなく感動を誘う作品は天才のなせること。
眉が綺麗なので 飲み屋のお手伝いのトシちゃんを 眉山とよぶ。 書くのもはばかれるような 失敗を次々とやらかす。 呑み仲間同士で 眉山を酒の肴に 飲食店閉鎖令の出される前の 束の間の交友が 愉しげであり 闇市▫焼け跡時代を 彷彿とさせると感じた。
文士の主人公がいつも友人たちと飲む居酒屋で、トシちゃんという若い女の子が働いている。文学好きの彼女はいつも主人公たちの会話に入ろうとするが、無知であるため「白痴」といってあしらわれる。また、彼女はドジで、かつ小用が近いので、常に馬鹿にされている。 しかし、それには訳があった。 人にはぜったいに分からない隠された部分がある。自分自身が他人からバカにされた時は、「あいつはおれのことなんもしらんねん」と相手を避難する。 しかし、一方で自分自身が他人の言動を否定するとき、その人の隠された部分を見つめようと努力はしない。 太宰はこの人間の性を小説で表現した。心のモヤモヤが言語化されていたので、僕はほっとした。
こういう人にネタにされて笑われて、でも愛されている人分かるな…と。しみじみしました。
これは太宰にしか書けない心地よい テンポ の悲喜劇。自分をムカつかせる人が、案外心に忍び込んでくることがある。
眉山(トシちゃん)が自分とかぶって、なんとも言えない寂しさを感じさせてくれました。隠れた名作です。
好きな子には優しくできないものですね。眉山は太宰の書く女らしい女。全てわかって、平気な顔でつとめている。とても悲しいです。
悲しいお話です。太宰治らしくない一人称が、僕というのが眉山を好きだったのがわかります。
読み応えがありました。一気に読みました。
ユーモアある文章に、チクリと指すエッセンス。短いのに心に刺さる話。